実を言うと,英語はあまり詳しくない.学術論文を一本読むのに数日かかる.読み慣れてくる頃には疲れてしまってやる気が失せている.
読み慣れる,と書いた.読み進めて行くうちに,脳が英語のまま理解し始める瞬間がある.英語で読み,英語で思考し,英語でアウトプットする.これを勝手に「英語モード」と呼ぶことにする.なんというか,脳の中に新しいモジュールが一個できる感じ.
脳が英語モードに入ってしまえばこっちのものだ.普段考えてる時は,頭の中では日本語で喋ってるだろう?その思考自体が英語になる.俺の脳が英語で喋ってる,俺スゲー!となる.しかしそこまで行くにはかなり集中力がいる.その前段階の話である.
Google 翻訳
Google 翻訳はうまく使えばかなり使える.しかし,頼り過ぎるのは禁物だ.あくまで補助としての位置づけになる.結局,自分の脳で読むしかないのだから.最近編み出したのは,一文ずつ貼り付けて翻訳するという方法だ.
原文から Word へ
学術論文は原文が PDF で提供されることが多い.美しく印刷するためだ.有料か無料かは掲載誌による.相場は $30-40 前後.そんなにポンポン買うわけにも行かない.めぼしい論文の PDF が入手できたとする.時々コピープロテクトがかかっている凶悪なファイルもあるが,大抵は印刷可・コピー可だ.プロテクトの外し方は各自ググってくれ.
で,ページごとか,パラグラフごとにテキストを選択して Word にコピペだ.ページをまたぐとフッターのテキストが入り込んでくるのでやめた方が良い.ここで変に『値のみ貼り付け』とかすると,余計な改行が入り込んでくるから普通にペーストしたほうが良い.
テキストの整形
ピリオドの直後に改行を二つ挿入する
英文テキストを一文ごとに改行し,さらに英文テキストの行間に日本語テキストを挿入するスペースを作る.『ピリオド』を『ピリオドと改行と改行』に置換する.これは Word の『検索と置換』を使う.詳細は下図を見てくれ.
改行すべきでない箇所を修正する
Fig.1 や Table.1 とか,略語の大文字の直後とか,小数点のピリオドとか.これもパターンを見つけて『検索と置換』で修正する.困ったことに,任意の数値を置換後の文字列に指定できない仕様になってる.早く正規表現を実装してくれ.参考文献の番号とかくっついてくるけど,あえて削除しないほうが良いかもしれない.
単位系の文字化け
単位系の文字化けも気になる.例えば原文では min·wk-1 と表記されていても,コピペすると minIwkj1 という文字に変わっていたりする.原因はわからない.正規表現だとうまく置換できるんだけど.こういう用途には普通にテキストエディタ使えってことなんだろう.
Google 翻訳で一文ずつ翻訳
手動でひたすらコピペ.英文を貼り付けて翻訳ができたら和訳をコピーして Word の英文の下のスペースに貼り付ける,の繰り返し.このあたりの作業を自動化できるとだいぶ楽なんだけど.多分,翻訳エディタなる分野のソフト,ありそう.
でも,結局英文を読むしかない
あくまで機械翻訳は補助だ.日本語である程度こんなことが書かれているなという当たりをつける程度にとどめたほうが良いと思う.一旦脳が英語モードに入ってしまえば速いんだけども.
まあ学術論文とは言っても,論文全体の構成はどれも似たり寄ったりだからどこに何が書いてあるかはある程度想像がつく.結果が統計的有意かどうか検証するところとか,考察で過去の論文と比較したりとか.
英語は型の決まった論文よりも日常会話のほうが圧倒的に難しいと思う.