Does strength promoting exercise confer unique health benefits? A pooled analysis of eleven population cohorts with all cause, cancer, and cardiovascular mortality endpoints.

 英語の論文読んでたら止まらなくなって勢いで全訳してしまった.ほんとは全訳なんてしちゃいけないもんだと界隈では言われてたりするんだけど,この際まあいいや.

 出典は筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実,大学病院理学療法士の方のブログ.いつもお世話になってます.幅広い論文検索能力,素晴らしいです.脱帽.

 原文はこちらね.Does strength promoting exercise confer unique health benefits? A pooled analysis of eleven population cohorts with all-cause, cancer, and cardiovascular mortality endpoints

 有料ってところでめげそうになる.PDF なんだけど,あまりレイアウトがきれいじゃない.どうも速報らしくて印刷用じゃないっぽい.

 気になったのは考察で述べられている(本記事では強調表示してある)ところの,「若年成人では筋トレが動脈硬化を促進している可能性がある」というくだり.

 アナボリックステロイドによるドーピングについては考察されているのかな?アメリカとかだと結構な割合でドーピングが浸透しているらしいし.若い男が手っ取り早くムキムキの体を手に入れたくてステロイドに手を出す,てのはいかにもありそうな話だ.参考文献までは読んでないので知らんけど,誰か読んだら教えて.俺もう疲れちゃったよ・・・

 ところどころ翻訳が変な箇所があるけど,翻訳業者じゃないから勘弁してくれ.さて,行きますよ.

Does strength promoting exercise confer unique health benefits? A pooled analysis of eleven population cohorts with all cause,cancer,and cardiovascular mortality endpoints.

Emmanuel Stamatakis,I-Min Lee,Jason Bennie,Jonathan Freeston,Mark Hamer,Gary O’Donovan,Ding Ding,Adrian Bauman and Yorgi Mavros Correspondence to Dr. Emmanuel Stamatakis,Charles Perkins Centre,University of Sydney,Sydney,NSW,Australia 2006 (phone: +61 2 8627 1867,email: emmanuel.stamatakis@sydney.edu.au)

ABSTRACT

 公衆衛生指導には,筋力トレーニング (SPE) が含まれるが,死亡率との相関に関する証拠はほとんどない.1994年から2008年のイングランド健康調査 (HSE) およびスコットランド健康調査 (SHS) のデータを用いて,筋力トレーニング (ジムベースおよび自重による筋力トレーニング) と全死亡,癌および心血管疾患の死亡率との相関を調べた.多変量調整後のCox回帰は,筋力トレーニング (任意,低・高強度,筋力トレーニングガイドラインへの遵守) と死亡率との相関を調べる.コアサンプルは,30歳以上の80,306人の成人で構成され,5,763人の全死亡 (681,790人年) に相当する.最初の24ヶ月間に発生した疾患・事象の除外後には,筋力トレーニングは全死亡 (0.77,95%信頼区間:0.69 – 0.87) および癌死亡 (0.69, 0.56 – 0.86) と良好な相関を示した.筋力トレーニングガイドライン (週2回以上) のみを遵守したのは,全死亡率 (0.79, 0.66 – 0.94) および癌死亡率 (0.66, 0.48 – 0.92) と相関していた.有酸素運動ガイドライン (週150分間の中等度の活動に相当) にのみ遵守したものは,全死亡率 (0.84, 0.78 – 0.90) および心血管疾患死亡率 (0.78, 0.6 – 0.90) と相関していた.両方のガイドラインへの順守は,全死亡率 (0.71, 0.57 – 0.87) ,および癌死亡率 (0.70, 0.50 – 0.98) と相関していた.我々の結果は,一般的な運動目標以上の筋力トレーニングガイドラインへの遵守を促進することを支持する.

Keywords: cancer,cardiometabolic,cardiovascular,epidemiology,mortality,physical activity,resistance training,strength promoting exercise,strength training

Abbreviations: CI,confidence intervals; CVD,cardiovascular disease; HSE,Health Survey for England; MET,metabolic equivalents; SHS,Scottish Health Survey; SPE,strength-promoting exercise

INTRODUCTION

 定期的な運動を行うことで,全死亡,心臓血管死,糖尿病および癌の死亡率を減少させるとの確立した相関がある (1, 2) .過去10年間で,筋力トレーニングは,世界保健機関 (WHO) が少なくとも週2回を推奨する世界各地の運動ガイドラインの不可欠な要素となった.

 現在の筋力トレーニングガイドラインは,主として強度と機能を高めることを意図しており,慢性疾患と死亡率に関するデータはほとんどない.筋力トレーニングは,男性 (40-75歳) (5) ,女性 (36-81歳) (6) および労働年齢集団 (30-64歳) (7) における2型糖尿病リスクの低下と相関している.これらの相関は有酸素運動とは無関係であり,有酸素運動と組み合わせるとより大きな利益をもたらし (5, 6) ,高齢者 (7) でより顕著であった.有酸素運動と比較して,筋力トレーニングは筋肉のサイズと筋肉の増加を促進する能力において独特であり,以前はより低い筋肉量 (8, 9) と筋力 (10) で死亡率リスクが高かった.したがって,筋力トレーニングは早期死亡率および慢性疾患リスクの軽減に有望である可能性がある.

 しかしながら,筋力トレーニングと死因との相関を調査した研究はほとんどない.筋力トレーニングは,成人男性における致死性および非致死性心筋梗塞のリスク減少 (11) および癌生存者における全死亡との相関 (12) が示されており,近年の研究では,1週間に2回の筋力トレーニングを行う成人における全死亡の減少が示されている (13-15) .しかし,少数の発表された研究では,米国に住む高齢者 (13) と小規模コホート (12,14,15) に限られており,一般的な症例を除外したり (13-15) ,フォローアップの最初の数ヶ月間のイベントを除外する (11, 13-15) ために,逆因果関係を説明する手段はない.

 この研究の目的は,筋力トレーニングと全死亡,心血管および癌の死亡率との間の相関を調べること,死亡アウトカムとの相関に関して,筋力トレーニングと有酸素運動ガイドラインを比較することであった.

METHODS

Sample

 イングランドの健康調査 (HSE) (16) とスコットランドの健康調査 (SHS) (17) は,それぞれ1991年と1995年以降に実施されている家庭ベースの人口サーベイランス研究である.毎年,標本は,全国的に代表的な標本を募集することを目的とした多段階の層別確率計画を使用して選択される.訓練を受けた面接者が選ばれた世帯を訪問し,募集された参加者には調査アンケートが行われた.すべての調査参加者は,死亡者をNHS Central Mortality Registerに記した書面による同意を出した.この研究には,HSE 1994年,1997年,1998年,2003年,2004年,2006年および2008年からSHS 1995年,1998年および2003年までの30歳以上の者が含まれ,死亡率データに対応する.各ベースライン調査は,イングランドとスコットランドの相関する研究倫理委員会によって承認された.

Mortality outcomes

 参加者は,2009年12月31日 (SHS) または2011年3月31日 (HSE) まで死亡例を追跡調査した.主要な死亡原因の診断は,国際疾病分類,第9改訂版および第10改訂版に基づいて記録された.癌の死亡は国際疾病分類第9改正第140.0-239.9号および国際疾病分類第10改訂版C00.0-D48.9コードを用いて同定された.心血管疾患死亡は,International Classification of Diseases第9版改訂版390.0-459.9および国際疾病分類第10改訂版I01.0-I99コードを用いて同定された.

Assessment of strength-promoting exercise and other physical activity

 運動は,インタビューの4週間前にスポーツと運動への参加について質問したアンケート (18) を用いて評価した.参加者には10種類の運動群を含むカード (Web Appendix 1) が見せられ,ジム,ウェイトトレーニング,エアロバイクでのワークアウトなどの「ジムベース筋トレ」と,腕立て伏せやシットアップなどの「自重筋トレ」とにラベリングされた.それぞれの肯定的な反応について,参加者は少なくとも15分間参加したかどうか,頻度 (回数 および1回あたりの時間を尋ねられた.「全身運動」 (全SPE) は,体重ベースのSPEと自分の体重SPEの合計として定義された.アンケートには,他の場所で詳細に説明されているが,の運動 (19) と歩行 (20) に関する項目も含まれていた (19, 20) .毎週の平均を反映するためにすべての運動変数を縮約した.大規模な検証研究において,加速度計による測定値と週当たりMET-分に変換した自己申告活動量との間のスピアマン相関係数は,女性が0.41 (95%信頼区間 (CI) :0.36, 0.46) ,男性が0.32 (0.26, 0.38) であった.

 有酸素運動を含む可能性があることから生じる誤分類を最小限にするために,ジムベースのワークアウトはジムベースの活動の年齢・性別比を用いて重み付けされた.その比は以下の2報で報告されていて,ジムにおいてマシンやフリーウェイトを用いたワークアウト強度はプールされた2008年 (21) の12,360名および2012年 (22) の6,883名のサンプルに由来しており,ジムベースの活動を特定するため追加の質問を加えてある (Web Table 1) .その2年間のジムベース活動のうち筋力トレーニングが平均で63%であり,30-35歳では86%であったが75歳以上では61%と年齢が上がるにつれて減少する傾向にあった.運動便覧 (23) を使用して一週間の総MET時間を計算し,全運動の代謝等量 (MET) を評価した.以前 (24) と同様に,我々は次のように有酸素運動を推定した.中等度の週150分間または高強度の週75分間,あるいは中等度および高強度の非筋力トレーニング・屋外運動と同等の組み合わせ (4) として.我々はまた,いかなる種類および強度 (26) の筋力トレーニングでない運動も,少なくとも週に7.5MET時 (25) の蓄積として定義された有酸素運動ガイドラインの代替解釈を計算した.筋力トレーニングガイドラインへの順守は,少なくとも平均で週に2回参加することを報告することと定義した.

Covariates

 身長と体重は,標準的なプロトコールを用いてインタビュアーによって測定された (16, 17) .体格指数は,体重 (キログラム) を身長 (メートル) の二乗で除して計算した.年齢,教育達成 (フルタイム教育を修了した年齢) ,長期間の疾病の有無,毎週のアルコール消費頻度,喫煙習慣 (非喫煙者,以前の喫煙者,現在喫煙1 – 10本/日,現在喫煙10 – 19 本/日,現在20本以上の喫煙) ,心理的苦痛/うつ病 (12点総合健康アンケートのスコア) ,インタビューの前日に消費された果物と野菜のサービング数.

Statistical analysis

 SPSSバージョン22 (IBM Corp, Armonk, NY) を用いて分析を行った.Cox比例ハザードモデルを用いて,全カテゴリー,特定の筋力トレーニングおよび全死亡,癌,および心血管疾患死亡率の間の相関を,「参加なし」を参照カテゴリとして検証した.比例ハザードの仮定を調べるためにLogminus-logプロットを使用し,違反は観察されなかった.年齢,性別,上に列挙したすべての共変量,および非筋力トレーニング活動の週単位のMET時で調整された.我々は,全体的な参加(なし・あり)と強度(なし・低・高)とで死亡の転機との相関を調べた.週あたりの高および低強度を,対応する変数の性別に応じた中央値を用いて分類した (Web Table 2) .我々は筋力トレーニングガイドライン(週2回以上) (4) と死亡率との相関を検討した.四段階の変数を使用して一般的な有酸素運動との相関も比較した.2つの推奨事項のいずれも満たしていない群 (リファレンス) ,筋力トレーニング勧告のみを満たしている群,有酸素推奨のみを満たしている群,両者を満たしている群である.潜在的な疾病による擬似相関の可能性を最小限に抑えるために,我々は最初の24ヶ月の追跡期間中に死亡した参加者を除外した.癌死亡率の分析から,ベースラインで担癌患者を除外し,心血管疾患死亡率分析から一般的な心血管疾患 (狭心症・脳卒中・虚血性心疾患) の患者を除外し,全死亡分析から心血管疾患罹患患者および担癌患者の両者を除外した.結果に記載がない限り,自重とジムベースの筋力トレーニングは互いに排他的ではなかった.バイアスを最小限に抑え,結果のより堅牢な解釈を可能にするために一連の感度分析を行った.これらの分析はWeb Table 3にリストされ,説明されている.

RESULTS

Sample characteristics

 コアサンプルは,736,463人年に相当し,80,306人の参加者と平均9.2 (SD 4.5) 年の追跡期間からなる.そのうち,36.2%が有酸素運動ガイドラインのみに該当し,3.4%が筋力トレーニングガイドラインにのみ該当し,5.5%が両者に該当した.筋力トレーニング参加によるコアサンプルの特性の概要は,Table 1に示されている(下記の除外前の適格参加者すべてを含む).非参加者と比較して,筋力トレーニング参加者は若くて,体格指数がやや低く,長期間の疾病が少なく,現在喫煙しておらず,うつ病でなく,または有酸素運動ガイドラインに合致しない傾向にあり,19歳以上で全日制の教育を履修した傾向にあった.合計で,1,891人の参加者が癌を有しており,5,292人がベースラインで主要な心血管疾患を有しており,該当する分析から除外された.別の938人の参加者は追跡調査の最初の24ヶ月で死亡し,今後のすべての分析から除外された.主な分析には,72,459人(全死亡),73,937人(心血管疾患死亡)および77,195人(癌死亡)の参加者が含まれていた.

Association between strength-promoting exercise and mortality

 Figure 1に,筋力トレーニングと死亡率の相互に排他的なカテゴリー間の完全に調整された相関を示す.自重筋力トレーニングは,全死亡率および癌死亡率に関して,ジムベースの筋力トレーニングよりも明確な相関を示した.両方のタイプの参加は全死亡 (0.51,0.33 – 0.79) および癌死亡 (0.25,0.10 – 0.60) の最大の死亡リスク減少と相関していた.

 表2に,自重筋力トレーニング,ジムベースの筋力トレーニングおよび全ての筋力トレーニングと全死亡率との相関を示す.両方の筋力トレーニングへの参加は,部分的に調整されたモデルと十分に調整されたモデルの両方において,全死亡のリスクが低いことと一貫して相関していた.同様に,完全調整モデルでは,毎週のトレーニング量が低強度のハザード比は0.81 (0.69-0.95) であり,高強度のハザード比は 0.75 (0.64-0.88) であった.

 部分調整モデルでは,3つの筋力トレーニング変数すべてが心血管疾患死亡率と相関していたが,さらなる調整は,これらの相関を実質的にかなり減衰させた (Web Table 4) .Table 3に,筋力トレーニングと癌死亡率との相関を示す.自重 (0.69,0.56 – 0.86) およびジムベース (0.61,0.45 – 0.84) の筋力トレーニングはいずれも癌死亡率に相関していた.筋力トレーニングを行うことは,強度依存的に癌死亡率に相関していた.

 全身活動と筋力トレーニングとの間にすべての転機において有意な相互作用はなかった (P> 0.35) .有酸素運動ガイドライン (n = 39,369) に合致していない参加者のうち,筋力トレーニングの参加者はより低い全死亡率 (完全調整ハザード比:0.76, 0.65 – 0.89) およびより低い癌死亡率 (0.65, 0.49 – 0.87) と相関していた.有酸素ガイドライン (n = 33, 840) に合致した参加者のうち,筋力トレーニングは全死亡率 (0.89, 0.71 – 1.03) および癌死亡率 (0.75, 0.59 – 0.95) と相関していた.果物と野菜の摂取量をさらに調整したサブサンプル(n = 33,063, 836死亡/ 326の死亡)では,全サンプルで観察された筋力トレーニングと死亡率アウトカム間のすべての相関が存続した.例えば,すべての筋力トレーニング参加者の全死亡率のハザード比は0.44 (0.25-0.77) であり,自重筋力トレーニング (要求に応じて入手可能なデータ) では0.60 (0.39-0.91) であった.

Adherence to strength exercise and aerobic guidelines

 筋力トレーニングガイドラインに合致しない場合と比較して,筋力トレーニングガイドラインの遵守は,全死亡率 (0.80,0.70 – 0.91) (Table 2) および癌死亡率 (0.68,0.54,0.86) (Table 3)と相関していた.これらの相関には変化はなかった,自重筋力トレーニングのみからガイドラインへの遵守が計算された時でも(例えば,全死亡率および癌死亡率のハザード比は,それぞれ0.81 (0.70-0.94) および0.69 (0.54-0.90) であった).

 Figure 2に,有酸素運動群と筋力トレーニング群との間の完全に調整された比較を,いずれのガイドラインも遵守していない参照群と比較して示す.筋力トレーニングガイドラインのみの遵守は,癌のリスク低下 (0.66, 0.48 – 0.92) と相関しており,全死亡リスク低下 (0.79, 0.66 – 0.94) と相関していた.有酸素ガイドラインのみの遵守は,心血管疾患の低下 (0.78, 0.68 – 0.90) および全死亡率低下 (0.84, 0.78 – 0.90) と相関していた.両方のガイドラインの遵守は全死亡率低下 (0.71, 0.57 – 0.87) および癌死亡率低下 (0.70, 0.50 – 0.98) を誘発したように見えた.有酸素ガイドラインの代替定義 (あらゆる種類および強度の週7.5MET時以上) を採用した分析の結果は,ほぼ同様であったが,両者のガイドラインと心血管疾患死亡率との相関についてより明白な証拠を提供した (Web Figures 1A-1C) .筋力トレーニングガイドラインへの準拠を自重トレーニングだけで計算したところ,筋力トレーニングと有酸素運動のガイドラインが死亡率に示した相関と同様の差異を認めた (Web Table 2) .非喫煙者 (n = 54,285) のうち,ジムベースの筋力トレーニングと全死亡率との相関は, (Table 2) に示された主な結果と比較して弱まった.他のすべての筋力トレーニング指標とこのサブグループ分析における死亡率との相関は, (筋力トレーニングガイドラインへの遵守および筋力トレーニングへの参加を含むが) 特定の方向ではなくほとんど変化しなかった (Web Table 5) .

DISCUSSION

 この研究の目的は,筋力トレーニングへの参加と全死亡,癌および心血管死亡との相関を調査することであった.いかなる形態でも筋力トレーニングへの参加は,全死亡率が23%減少し,癌死亡率が31%減少したことと相関していた.さらに,強度依存関係の比較的控えめな証拠があり,筋力トレーニングの量が多いほど全死亡率がわずかに低下していた.筋力トレーニングガイドラインと有酸素運動ガイドラインの両方を遵守することは,有酸素運動単独Figure 2Web Figure 1よりも死亡率リスク低下が大きいことと相関していた.全運動(筋力トレーニングと有酸素運動の併用)と全癌死亡率との間の有益な相関が,現行の推奨値を下回る強度で頻繁に現れることがこれまでの研究 (26,27) で示唆されていることを考えると,有酸素運動ガイドライン単独への遵守と癌との相関の欠如は驚くべきことである.1つの可能性は,筋力トレーニングの非存在下では,MVPA / 7.5 MET時間/週の150分を超える有酸素運動量が癌死亡リスクを軽減するのに必要であるということである.しかし,有酸素運動単独ガイドラインへの遵守と癌死亡率との相関を具体的に評価した研究を我々は把握していないため,この解釈は経験的証拠によって直接的には支持されていない.筋力トレーニングに起因する主要な適応である筋力が,有酸素運動とは独立して癌死亡率低下と相関していることは注目に値する (28) .

 有酸素運動と罹患率,死亡率および臨床的健康アウトカムとの相関は十分に記述されているが,公衆衛生の枠内では筋力トレーニングにはほとんど焦点が当てられていない (28) .我々の分析によれば,装置なしでどんな状況でも実行できる自重トレーニングは,ジムベースのトレーニング (Figure 1) と同等の結果をもたらした.これは実用的な意味合いを持つ.というのも,筋力トレーニングはジムまたは臨床施設内で主に行われる活動として認知されているため,そこには重要な参加障壁が存在する可能性がある.つまり,社会的阻害,アクセス制限,金銭的制約などである (29) .我々の研究はまた公衆衛生慣行における格差らしきもの強調する.つまり,例外が非常に少ない (28) とか,有病率 (30) を推定する研究が少ないとか,慢性疾患リスク因子はそれ自体で筋力トレーニングを考慮しないための運動不足の負担 (31) ,などである.例えば,筋力トレーニングガイドラインの遵守を考慮すると,オーストラリア (28, 32) および米国 (33) における運動不足は約80 – 85%に増加する(有酸素ガイドラインのみ考慮する場合は50%未満である).

 世界保健機関ガイドラインの週2回の筋力トレーニングに従った参加者では全死亡率が20%低下した.これらの知見は,Kraschnewskiら (2016) (13) およびDankelら (2016) (15) によって報告された全死亡率の19%および31%の減少と概ね一致している.Kraschnewskiら (2016) (13) は有意な相関を示さなかったこととは対照的に,我々はガイドラインを遵守することが癌死亡率の32%低下に相関することを見出した.世界保健機関 (WHO) の2つのガイドラインの構成要素を比較したところ,有酸素運動ガイドラインではなく,筋力トレーニングに合致した個人でのみ癌死亡率の減少が観察された (Figure 2Web Figure 1Web Figure 2) .筋力トレーニングは,性ホルモンの循環レベルを低下させ (34) ,女性の乳癌および子宮内膜癌,および男性の前立腺癌のリスクを低下させることが示されている (35) .さらに,筋力トレーニングは,特に前立腺癌でしばしば処方される抗アンドロゲン剤の副作用と同様に,筋肉機能不全および癌悪液質 (36) に対抗するために,癌の治療において強力な補助療法であることが示されている(37) .筋力トレーニングは,癌生存者の全死亡率の33%低下と相関している (12) .総合すると,診断前の筋力トレーニングは癌死亡のリスクを低下させるが,癌生存者の死亡リスクをも低下させる可能性もある.しかし,癌診断を受けていない個人における筋力トレーニングおよび癌死亡率の観察研究は不十分であり,したがって,この運動様式と癌死亡率との相関については将来の研究が待たれる.

 現在の研究は,筋力トレーニングと心血管疾患死亡との相関についての証拠の欠如を示しており,これは以前の文献と一致している (13, 15) .しかし,少なくとも週に30分間筋力トレーニングを行うことで,男性においては2.5時間の速歩 (11) と同等の致死性および非致死的心筋梗塞のリスク低下効果が得られることが判明した.ある無作為化比較試験によると,レジスタンストレーニングは若年成人の動脈硬化を増加させることが示されており (38) ,より高い動脈硬化は全死亡率および心血管疾患死亡率に相関する (39) .しかし,最近の証拠によれば,若年男性の高強度または低強度のレジスタンストレーニングの12週間後の脈波伝播速度の減少が示されている (40) .同様に,高血圧予備群と高血圧の高齢者において大動脈貯留圧も,レジスタンストレーニング後に減少することが示された (41) .したがって,筋力トレーニングと心血管疾患死亡との間の相関は依然として不明であり,さらなる調査が必要である.したがって,筋力トレーニングと動脈硬化との相関は異質のままであるが,筋力トレーニングによる動脈硬化の増加は,血圧低下などの他の心血管疾患リスク因子に対する潜在的利益により相殺される可能性がある (42) .

 以前は8,772人の成人で,月に8-14回の筋力トレーニングを行うことは,全死亡率の低下と相関していたが,より高い頻度では利点は見られなかった (15) .我々のデータでは,より高強度およびより高強度と知覚された筋力トレーニングが,全死亡率および癌死亡率のより大きな減少とそれぞれ相関していることを示すいくつかの示唆があった.興味深いことに,筋力トレーニングへの参加とは対照的に,より高い筋力は死亡率の低下とより強く相関しており,筋力トレーニング行動そのものよりも重要であることが示唆された.これは,潜在的な強度依存関係についてのさらなる証拠を提供し,実験データ (43) は,より高容量および高強度での筋力トレーニングが筋力に大きな利益をもたらすことを示す.積極的レジスタンストレーニング (PRT) の死亡率に対する独立した影響に関する実験データはまれである.骨粗鬆症性股関節骨折の外科的修復を受けた124人の高齢者のRCTにおいて,PRTを受けた患者は,標準ケアを受けた患者より死亡率および養護施設入院率がそれぞれ81%および84%減少した (44) .高強度PRTに対する同化反応は,グルコース代謝の改善 (45) ,全身性炎症の減少 (46) ,抑うつ症状の減少 (47) ,軽度認知障害を有する成人 (48) の認知機能の改善,同様に有酸素能力,機能的および運動的転帰 (49) ,これらはすべてひとまとめに死亡リスクを低減しうる.

 我々の研究は,プールされた人口サンプルを利用しており,筋力トレーニング疫学の分野で最大の一つである.我々は,逆因果関係の可能性を最小限に抑えるための堅固なアプローチを取った(例えば,この分析は,最初の2年間に起こる罹患患者およびイベントの両方を排除する唯一のものである).またサブサンプルにおける食事性因子の調整を含んでいる.この研究の重要な限界は,自己申告による筋力トレーニングの評価と4週間の時間枠の想起を用いたことであった.暴露測定のこれらの特性の両方は,回帰希釈バイアスと,筋力トレーニングと結果との間の「真の」相関の減衰をもたらした可能性がある.現在,公衆衛生サーベイランスにおける標準であるところの筋力トレーニング自己申告評価 (50) には,実行可能な代替はない (28, 51) .ジムベースの運動に関する質問では,有酸素運動のいくつかの形式について質問し,筋力トレーニングジムベースの活動の量による重み付け推定によって測定誤差を減らそうとしたが,いくつかの有酸素活動が含まれている可能性を認めた.しかし,自重による筋力トレーニングは,ジムベースの指標と比較して,死亡リスクの低下レベルが高い (Figure 1) ことを示した.自重指標のみを用いた筋力トレーニングガイドラインの順守を計算しても,結果は大きく変わらなかった (Web Figure 2) .これらの分析は,筋力トレーニングの全体的な知見の堅牢性を裏付けており,筋力トレーニングの全体的な知見の堅牢性を裏付けている.

 低い統計力は,我々の結果の一部を損なう可能性がある.例えば,筋力トレーニングガイドラインと有酸素運動ガイドライン組み合わせにおける心血管疾患死亡率との相関では,筋力トレーニングガイドラインに準拠したグループは42のイベント(イベント率1.6%)しかなかったが,癌死亡の場合には我々は同じ集団において少数のイベント(38イベント,イベント率1.4%)を検出したことは注目に値する.

 結論として,いかなる形であれ筋力トレーニングへの参加は,全死亡率の23%減少,癌死亡率の31%減少と相関していた.死亡リスク減少に関しては,筋力トレーニングガイドラインへの順守は,少なくとも有酸素運動ガイドラインの遵守と同じくらい重要であると思われる.我々の結果は,一般的な運動目標以上の筋力トレーニングガイドラインへの遵守を特に促進するという価値を支持している.

図の解説

Figure 1A:

筋力トレーニングタイプの相互排他的なカテゴリーに関する全死亡率を記述するハザード比.

Figure 1B:

筋力トレーニングタイプの相互排他的カテゴリーに関する心血管死亡率を記述するハザード比.

Figure 1C:

筋力トレーニングタイプの相互排他的なカテゴリーに関する癌死亡率を記述するハザード比.

分析は以下の項目について調整した.年齢,体格指数,教育達成度,長期間の疾病の有無,一週間のアルコール消費頻度,喫煙習慣,心理的苦痛/うつ病,他の全ての(筋力トレーニングでない)運動量に関して.

全死亡率についてのサンプルサイズ(症例/n):筋力トレーニングなし (5,435/60,937), ジムのみ (83/4,440), 自重のみ (223/4,822), 両者 (20/2,224).

心血管疾患死亡率:筋力トレーニングなし (1,623/62,252), ジムのみ (25/4,498), 自重のみ (67/4,902), 両者 (8/2,249).

癌死亡率:筋力トレーニングなし (1,969/65,347), ジムのみ (35/4,564), 自重のみ (79/5,000), 両者 (5/2,247).

Figure 2A:

有酸素運動と筋力トレーニングに関する全死亡率を記述するハザード比.

Figure 2B:

有酸素運動と筋力トレーニングに関する心血管疾患死亡率を記述するハザード比.

Figure 2C:

有酸素運動と筋力トレーニングに関する癌死亡率を記述するハザード比.

分析は以下の項目について調整した.年齢,体格指数,教育達成度,長期間の疾病の有無,一週間のアルコール消費頻度,喫煙習慣,心理的苦痛/うつ病,運動量.

有酸素運動のガイドラインへの準拠は中程度から高強度の運動のみを反映する.つまり週に最低でも150分の中等度,75分/週の高強度,または中等度から高強度の筋力トレーニングと同等の組み合わせを達成するもの.

全死亡率(症例/n)のサンプルサイズ:どちらもなし(4,151/38,208), 両者 (99/4,254), 筋力トレーニングのみ (128/2,524), 有酸素運動のみ (1,385/27,473).

心血管疾患死亡率:どちらもなし (1,280/39,132), 両者 (30/4,311), 筋力トレーニングのみ (42/2,567), 有酸素運動のみ (371/27,927).

癌死亡率:いずれもなし (1,407/41,896), 両者 (39/4,320), 筋力トレーニングのみ (38/2,645), 有酸素運動のみ (605/28,334).

Table 1

 筋力トレーニング参加者のサンプルの基本的特性.30歳以上の成人.

イングランド健康調査とスコットランド健康調査(n=80,306)
変数 非参加者(n=68,222)(%) 参加者(n=12,084)(%) P for Δ
年齢(歳) 53.0(14.5) 45.6(12.4) <0.001
性別(女性) 54.9 51.8 <0.001
体格指数 (kg/m2) 27.3(4.9) 26.6(4.2) <0.001
長期間の疾病 49.4 38.2 <0.001
現在の喫煙 26.1 17.8 <0.001
アルコール消費頻度(週5回以上) 19.4 19.8 0.341
心理的苦痛(GHQスコア4以上) 15.3 12.2 <0.001
19歳以上の学歴 16.2 28.9 <0.001
有酸素運動指針のみに合致 38.4 24.0 <0.001
筋力トレーニング指針のみに合致 N/A 22.5
両方の指針に合致 N/A 36.2

Table 2

 筋力トレーニングと全死亡率との相関を示すハザード比.30歳以上の成人で最初の24ヶ月間の追跡期間を生存したベースラインで癌や心血管疾患を有さないもの.(n=72,459)

 まずは概略から.自重のみ,ジムのみ,自重+ジムでどのくらい死亡リスクが減るかを示した表.

モデル1, 年齢と性別のみで調整
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
自重のみ 0.67 0.59 0.76
ジムのみ 0.60 0.49 0.73
自重+ジム 0.66 0.59 0.87
モデル2, 年齢,性別,長期間の疾病,アルコール消費頻度,心理的苦痛,体格指数,喫煙状態,教育レベル,一週間の運動量で調整
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
自重のみ 0.78 0.68 0.88
ジムのみ 0.75 0.62 0.91
自重+ジム 0.77 0.69 0.87

 次は自重のうち,負荷が低強度か高強度かで死亡リスクがどれだけ減るか示した表.

モデル1
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.63 0.49 0.81
高強度 0.56 0.41 0.76
モデル2
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.76 0.63 0.93
高強度 0.79 0.67 0.93

 さらにジムのうち,低強度と高強度で死亡リスクがどれだけ減るか示した表.

モデル1
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.69 0.59 0.81
高強度 0.63 0.54 0.74
モデル2
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.77 0.60 0.99
高強度 0.71 0.52 0.97

 さらに自重とジムの両方やってるうち,低強度と高強度で死亡リスクがどれだけ減るか示した表.

モデル1
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.69 0.59 0.81
高強度 0.63 0.54 0.74
モデル2
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.81 0.69 0.95
高強度 0.75 0.64 0.88

 最後に筋力トレーニングガイドラインへの合致の有無で死亡リスクがどれだけ減るか示した表.

モデル1
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
あり 0.68 0.60 0.78
モデル2
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
あり 0.80 0.70 0.91

Table 3

 筋力トレーニングと癌死亡率との相関を示すハザード比.30歳以上の成人で最初の24ヶ月間の追跡期間の生存したベースラインのうち癌を有さないもの.(n=77,195)

 概略から.自重のみ,ジムのみ,自重+ジムでそれぞれ癌死亡リスクがどれくらい減るか示した表.

モデル1, 年齢と性別のみで調整
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
自重のみ 0.60 0.48 0.75
ジムのみ 0.51 0.37 0.69
自重+ジム 0.59 0.49 0.72
モデル2, 年齢,性別,長期間の疾病,アルコール消費頻度,心理的苦痛,体格指数,喫煙状態,教育レベル,一週間の運動量で調整
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
自重のみ 0.69 0.56 0.86
ジムのみ 0.61 0.45 0.84
自重+ジム 0.69 0.57 0.84

 自重のうち低強度と高強度で癌死亡リスクがどれだけ減るか示した表.

モデル1
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.57 0.41 0.79
高強度 0.63 0.47 0.83
モデル2
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.66 0.47 0.92
高強度 0.72 0.54 0.96

 ジムのうち低強度と高強度で癌死亡リスクがどれだけ減るか示した表.

モデル1
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.55 0.37 0.81
高強度 0.46 0.28 0.75
モデル2
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.66 0.44 0.98
高強度 0.56 0.34 0.91

 自重とジムの両方やってるうち,低強度と高強度で癌死亡リスクがどれだけ減るか示した表.

モデル1
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.62 0.48 0.80
高強度 0.58 0.44 0.75
モデル2
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
低強度 0.72 0.58 0.93
高強度 0.67 0.52 0.88

 筋力トレーニングガイドラインへの合致の有無で癌死亡リスクがどれだけ減るか示した表.

モデル1
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
あり 0.59 0.47 0.74
モデル2
ハザード比 95%- 95%+
なし 1.00
あり 0.68 0.54 0.86

One Reply to “Does strength promoting exercise confer unique health benefits? A pooled analysis of eleven population cohorts with all cause, cancer, and cardiovascular mortality endpoints.”

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