熱中症の搬送人員と最高気温との相関関係を可視化し閾値をχ二乗検定するでは日最高気温と熱中症搬送人員との相関関係を可視化した.今回は熱中症搬送人員を重症度別に日最高気温との相関関係を可視化する.
データベース
データベースは前回同様,熱中症の搬送人員と最高気温との相関関係を可視化し閾値をχ二乗検定するで作成したものを使用する.総務省消防庁の救急搬送状況および気象庁の過去の気象データ・ダウンロードからのデータをもとにしている.
日最高気温と重症度別の搬送人員数の統計
日別平均水蒸気圧と同様,日最高気温が上昇するにつれてどの重症度も搬送人員数が指数関数的に増加する傾向にある.今回は縦軸を対数とした.片対数グラフに直線が現れた場合は自己組織化が起きている.この場合,ある一定以上の外気温に人体は耐えられないという限界を示しているものと考えられる.
軽症
中等症
重症
死亡
ストアドプロシージャ
下記ストアドプロシージャは日最高気温と死亡との四分表を作成するものである.死亡を軽症,中等症,重症に入れ替えるとそれぞれの四分表を作成できる.
CREATE PROCEDURE Temperature_Death @Temperature int AS BEGIN SET NOCOUNT ON; SELECT @Temperature AS '閾値' , SUM(CASE WHEN E.死亡 > 0 AND T.日別最高気温 >= @Temperature THEN 1 ELSE 0 END) AS 'a' , SUM(CASE WHEN E.死亡 = 0 AND T.日別最高気温 >= @Temperature THEN 1 ELSE 0 END) AS 'b' , SUM(CASE WHEN E.死亡 > 0 AND T.日別最高気温 < @Temperature THEN 1 ELSE 0 END) AS 'c' , SUM(CASE WHEN E.死亡 = 0 AND T.日別最高気温 < @Temperature THEN 1 ELSE 0 END) AS 'd' , SUM(CASE WHEN E.死亡 > 0 THEN 1 ELSE 0 END) AS 'a+c' , SUM(CASE WHEN E.死亡 = 0 THEN 1 ELSE 0 END) AS 'b+d' , SUM(CASE WHEN T.日別最高気温 >= @Temperature THEN 1 ELSE 0 END) AS 'a+b' , SUM(CASE WHEN T.日別最高気温 < @Temperature THEN 1 ELSE 0 END) AS 'c+d' , COUNT(*) AS 'N' FROM dbo.Emergency AS E INNER JOIN dbo.Temperature AS T ON E.日付 = W.年月日 AND E.都道府県コード = W.都道府県コード END GO
結果
重症度別のROC, 閾値,感度,特異度を示す.
軽症
軽症における閾値は28℃,感度は0.77, 特異度は0.72であった.
中等症
中等症における閾値は29℃,感度は0.74, 特異度は0.74であった.
重症
重症における閾値は31℃,感度は0.78特異度は0.70であった.
死亡
死亡における閾値は32℃,感度は0.82, 特異度は0.73であった.
まとめ
軽症における閾値は28℃,感度は0.77, 特異度は0.72であった.
中等症における閾値は29℃,感度は0.74, 特異度は0.74であった.
重症における閾値は31℃,感度は0.78特異度は0.70であった.
死亡における閾値は32℃,感度は0.82, 特異度は0.73であった.
軽症から死亡へと重症度が上がるにつれて,閾値が上昇しているのは理解できる.
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