原油の地域別,国別輸入元の推移をグラフ化する

 eStatから日本の資源収支を概略するでは化石燃料の一例として都市ガス販売量およびガソリン販売量の推移を見た.石油需給の推移を概観するでは原油輸入量の推移を見た.今回は1989年から2020年までの原油の輸入元の地域別,国別の推移をグラフ化した.

原油の地域別輸入元の推移

 予想はしていたものの,中東が圧倒的である.これらの原油はタンカーに積まれ,南シナ海を通って日本に輸入される.南シナ海の地政学的リスクを軽視すべきではない.

原油の地域別輸入元の推移
原油の地域別輸入元の推移

中東の国別輸入元の推移

 サウジアラビアとアラブ首長国連邦で大半を占める.イラクからの輸入は1991年から1996年まで停止しているが,1990年はイラクがクウェートに侵攻した年である.8月2日の侵攻を受けて国連安保理は8月6日経済制裁を決議し,イラクは1996年12月10日まで原油輸出を再開できなかった.多国籍軍がバグダッド空爆を開始したのは1991年1月17日であり,地上戦が始まったのは2月24日,2月27日にはアメリカのブッシュ大統領が勝利を宣言している.これがいわゆる湾岸戦争である.

 中東の情勢は現在,イエメンを舞台としたイラン対サウジアラビア,アラブ首長国連邦の代理戦争の様相を呈している.シリアにおけるアサド政権による化学兵器使用を始めとした人道危機,ロシアの介入なども記憶に新しい.他にもアル・カーイダやISISなど地域を不安定化させる要素は多数ある.なお,公安調査庁が国際テロリズム要覧として全世界のテロ組織をリスト化している.

 我々の生活がいかに脆い基盤の上に成り立っているのか,噛みしめる必要があるだろう.

中東における原油の国別輸入元の推移
中東における原油の国別輸入元の推移

東・中央アジアの国別輸入元の推移

 中国からの輸入はかなり多かったが,最近は輸入は途絶えている.中国自身が石油の輸入国に転じたことが大きいのだろう.

東・中央アジアにおける原油の国別輸入元の推移
東・中央アジアにおける原油の国別輸入元の推移

南方の国別輸入元の推移

 インドネシアからの輸入が多かったが,最近は減少傾向にある.

南方における原油の国別輸入元の推移
南方における原油の国別輸入元の推移

欧州の国別輸入元の推移

 欧州ではロシアの存在感が大きい.天然ガスと並んで石油はロシアの主要な輸出品である.昨今のロシアによるウクライナ侵略により,ロシア産の石油を輸入し続けるのはリスクが大きい.

欧州における原油の国別輸入元の推移
欧州における原油の国別輸入元の推移

北米の国別輸入元の推移

 アメリカは最近まで石油輸入国であったが,シェールガス,シェールオイルの開発により石油輸出国に転じた.2014年以降の原油輸入の増加はそれを反映していると思われる.

北米における原油の国別輸入元の推移
北米における原油の国別輸入元の推移

中南米の国別輸入元の推移

 中南米ではメキシコの存在感が大きかったが,最近ではエクアドルの存在感が増している.

中南米における原油の国別輸入元の推移
中南米における原油の国別輸入元の推移

アフリカの国別輸入元の推移

 アフリカの原油輸入元は変遷が著しい.アンゴラ,ガボン,チャドあたりが安定して輸入が続いているようである.

アフリカにおける原油の国別輸入元の推移
アフリカにおける原油の国別輸入元の推移

大洋州の国別輸入元の推移

 オーストラリアの存在感が大きいが,最近は減少傾向にある.2004年のデータが存在しないのは,大洋州全体の統計はあるが該当国の統計が存在しないためである.

大洋州における原油の国別輸入元の推移
大洋州における原油の国別輸入元の推移

まとめ

 日本が世界から輸入している原油の輸入元を地域別,国別に概観した.中東に依存している状況を認識するとともに,タンカー航路である南シナ海の重要性を再認識した次第である.

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