食事と体組成に関する国際スポーツ栄養学会のポジションスタンド(前編)

 今回は Google 検索で見つけた総説を紹介する.システマティックレビューではなく,ナラティブレビューである.引用している文献はシステマティックレビューやメタアナリシス,ランダム化比較試験など良質のものもあるが総じてピンキリだ.何でもそうだが,この記事に書かれていることも盲信しないで欲しい.

 長くなったので前編に食事,後編に身体の適応について述べることにしよう.

検索式

 検索式は “strength training” AND “carbohydrate” AND “systematic review” AND “meta analysis” AND pmc とした.1ページ目に紹介されていた論文の一つである.発行元は国際スポーツ栄養学会で 2017 年の発刊である.

  検索方法はPubMedを使わずに医学論文を探してみよう!~楽しみながら論文を検索する方法~で紹介されていた.

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線形ピリオダイゼーション

 Twitter でフォローしている山本義徳さんが新刊を出した.

 最近ベンチプレスが停滞気味の自分にとって救世の書となるか.早速ポチった.

  1. 筋発達のメカニズム
  2. トレーニング頻度を考える
  3. 最適のセット数を考える
  4. レップスの科学と TUT
  5. 最適のインターバルは?
  6. プログラミングの実際

 章ごとに目次から抜き出すとこうなる.最近の筋トレは週 3 日で行ってはいたが 1 回 2 時間もかかっており,正直時間の確保が難しくなってきていた.しかもマクロ栄養素に従って減量も同時に行っており,バーベルの重量は減らしたくない.ここで紹介されている線形ピリオダイゼーションが魅力的に思えた.

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虎とベンチプレス

https://www.worldwildlife.org/photos/sumatran-tiger

 この物語はフィクションである.真に受けないようにされたい.

 あなたは今から数万年前,ある大陸で生きていた若者だ.数十名の部族の一員だ.あなたには弟がいた.

 ある夏の日の午後,あなたは弟と一緒に狩りに出かけた.あなたの担当は居留地の西だ.他に北,東,南へも手分けして他の男たちが狩りに出かけている.普段はこうして少人数の複数チームで小中型の動物を狩っている.大型の動物を狩ることはめったになく,年に一回あるかないかだ.その際は何日もかけて罠を仕掛け,少数の突撃班と,残り大多数の伏兵班に分かれる.もちろん構成員は全ての男だ.

 突撃班に選ばれるのは大変な名誉だった.巨大な動物はその体重だけで十分に殺傷能力が高い.罠のある方へ追い立てるのが役目だが,間違って自分たちの方向へ突進してきたら文字通り命にかかわる.実際,過去の狩りでは突撃班の半数が死亡したこともある.命を代償として賭ける彼らには高い名誉と報酬が与えられるのだった.

 彼らは戦士と呼ばれ,食料の配分,武器の材料,そして女の優先権が与えられた.実際,優秀な戦士の子もまた優秀な戦士となることが多く,強い男が多くの女に子を産ませるのは部族の繁栄にとって当然だと考えられていた. “虎とベンチプレス” の続きを読む