主な確率分布の期待値と分散

 離散型確率分布としてベルヌーイ分布,二項分布,ポアソン分布,幾何分布がある.連続型確率分布として一様分布,正規分布,指数分布がある.それらの期待値と分散を示す.

離散型確率分布

ベルヌーイ分布

 くりかえしサイコロを投げて奇数が出るかどうかを調べる場合,結果は試行ごとに偶然に決まる.結果の起こる確率は一定で,各試行結果は互いに独立である試行をベルヌーイ試行という.結果は2種類で成功を 1, 失敗を 0 とし,成功確率を p とする.1回のベルヌーイ試行で得られる結果の確率分布を特にベルヌーイ分布という.その確率関数は次の通りである.

P(X=1)=f(1)=p, P(X=0)=f(0)=1-p, 0 \leq p \leq 1

 期待値と分散は次の通りである.

\mu = E[X] = p \\ \sigma^2 = V[X] = p(1-p)

二項分布

 成功確率 p の n 回のベルヌーイ試行を行うとき,成功の回数が x, 失敗回数が n-x の確率関数は次のとおりである.

P(X=x) = f(x) = {}_nC_x p^x (1-p)^{n-x}

 この確率分布を二項分布といい,B(n, p) と表現する.二項分布の期待値と分散は次のとおりである.

E[X] = np \\ V[X] = np(1-p)

ポアソン分布

 二項分布 B(n, p) において期待値 np = λ を固定し,試行回数 n を無限大,成功確率 p を 0 に極めて近い値にするような確率分布をポアソン分布という.まれに起きる現象として交通事故の件数,安定した製造ラインでの故障件数などの確率モデルとして用いられる.ポアソン分布の確率関数は次のとおりである.

P(X=x) = f(x) = e^{-\lambda}\lambda^x/x! (x=0,1,2,...)

 ポアソン分布の期待値と分散は次のとおりである.

E[X]=V[X]=\lambda = np

幾何分布

 成功確率が p であるベルヌーイ試行を,初めて成功するまで繰り返すときの試行回数 X の確率分布を幾何分布という.初めて成功するのが x 回目とするとそれまでの x-1 回は失敗なので,確率関数は次のとおりである.

P(X=x) = f(x) = p(1-p)^{x-1} (x=1,2,...)

 幾何分布の期待値と分散は次のとおりである.

E[X] = \frac{1}{p} \\ V[X] = \frac{1-p}{p^2}

連続型確率分布

一様分布

 区間 [a, b] 内のどの値も同じ起こりやすさを持つ分布を一様分布という.一様分布の確率密度関数は次のとおりである.

 一様分布の期待値と分散は次のとおりである.

E[X] = \frac{a+b}{2} \\ V[X] = \frac{(b-a)^2}{12}

正規分布

 期待値 μ, 分散 σ2 の正規分布の確率密度関数は次のとおりである.

f(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}}\exp[-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}]

指数分布

 ランダムな現象に対して初めて起こるまでの待ち時間の分布を考えるとき,待ち時間 W の取りうる値は非負の実数であり,ある  t \geq 0 に対して W \leq t である確率,つまり W の累積分布関数は次のとおりである.

F(t) = 1 - e^{-\lambda t}

 λは単位時間における生起回数の期待値とする.上記の式を t で微分すると確率密度関数が次のように得られる.

f(t) = \lambda e^{-\lambda t}

 指数分布の期待値と分散は次のとおりである.

E[W] = \frac{1}{\lambda} \\ V[W] = \frac{1}{\lambda^2}

 指数分布は生物統計学における生存期間,信頼性工学における故障するまでの寿命などの基本的なモデルとして用いられる.

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