国土数値情報ダウンロードサイトには様々なデータが蓄積されている.医療機関の位置データもその一つである.今回は茨城県の救急告示病院をQGISで表現することにした.
データのダウンロード
データはここにある.ブラウザで「医療機関」を検索すると下記画面に行き着く.
クリックしてスクロールしていくと都道府県を選択するところに行き着く.任意の都道府県を選択する.ここでは茨城県を選択する.Googleフォームが起動してアンケートを求められるので任意に入力してデータをダウンロードする.
QGISでの処理
QGISを起動して「レイヤ」「レイヤを追加」「ベクタレイヤを追加」を選択する.
データソースマネージャダイアログに遷移するので「ソース」から先程ダウンロードしたシェープファイルを指定する.「文字コード」は自動ではなくShift JISを指定しないと文字化けする.
背景画像用にOpenStreetMapを指定する.
救急告示病院の抽出
P04-20_08というシェープファイルが医療機関のデータであるが,このレイヤから救急告示病院だけを抽出したい.これには属性テーブルを使う.レイヤを右クリックして「属性テーブルを開く」を選択する.
「フォームによる地物選択フィルタ」ボタンをクリックする.
「P04_001」に1を指定し「P04_009」に1を指定し「地物を選択」ボタンをクリックする.P04_001は医療機関種別を指定し,1が病院のことである.P04_009は救急告示の有無を示し,1が救急告示ありを示す.
対象のレイヤを右クリックして「エクスポート」「新規ファイルに地物を保存」を選択する.
「ファイル名」にフルパスでファイル名を指定する.「文字コード」はShift JISとする.「選択地物のみ保存」を忘れずにチェックする.
救急告示病院の外観を指定する
新たに保存したレイヤを右クリックして「プロパティ」を選択する.
シンボロジを「単一定義」とし,「topo hospital」を選択する.
病院名を表示するために「ラベル」から「単一定義」を選び「値」で「P04_002」を選ぶ.P04_002とは施設名称のことである.
適用してOKをクリックする.
結果
茨城県内の救急告示病院が表示される.本記事には示していないが,医療圏のポリゴンを重ねて二次医療圏ごとのレイヤを作成するとさらに情報が細かくなる.
座標参照系の悪夢
これまでは座標参照系については言及せずに話を進めてきた.それぞれのポイントから同心円を描きたいとなると,途端に話がややこしくなる.プロセッシングツールボックスからバッファを選べばよいのだが,初期設定のままだと角度でしか指定できない.距離で指定できないのはEPSG:6668という経度・緯度を基準とした座標参照系だからである.何とか距離で指定したい…となると投影座標系に変換する必要がある.EPSG:6677という投影座標系があるのだが,これに変換すると地図上での位置がずれてしまう.かといってすべてのレイヤーをEPSG:6677に変更すると,地物そのものがスクリーンから消えてしまって選択できなくなる.現時点では対応策がわからない.