冬季における家庭血圧と屋内温度との関連の横断解析 日本全国のスマートウェルネス住宅調査

 表題の原文はCross-Sectional Analysis of the Relationship Between Home Blood Pressure and Indoor Temperature in Winter: A Nationwide Smart Wellness Housing Survey in Japan DOI: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.119.12914で読める.家が寒いと血圧が上がるという経験則をデータで示した論文である.血圧が上がれば心血管疾患リスクが上がり,死亡率も上がる.したがって冬には死者が増える,という冬季超過死亡率の上昇まで見てあればよいのだが,残念ながら死亡はエンドポイントとして見ていない.それがこの研究の限界である.

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雪かきは筋トレと同等の運動負荷である

 先日,記録的な大雪が降った.当地では一冬で 1-2 回の大雪は毎年のことなのだが,今シーズンは一ヶ月間で 3 回も降った.例年にないことなので,除雪に関するチップスを共有したいと思う.

道具

 当家ではスコップとスノーダンプを主に使用しているが,実は雪が降ってから何日経っているかで使う道具を変える必要がある.前の晩から降った新雪なら密度が小さく軽いため樹脂やアルミ製で問題ない.しかし数日経過して圧雪になると密度が大きくなり,樹脂やアルミでは歯が立たなくなる.雪というよりほとんど氷だ.こういう時は鉄製に限る.

除雪の運動負荷は筋トレと同等

 除雪は意外にも重労働だ.開始して数分で息切れしてくることもある.国立健康・栄養研究所の改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』によると,除雪作業の強度は 5.3-7.5 Mets 相当になる.平均して 6 Mets と覚えておくとよい.

 これがどの程度かというと,実は筋トレと同等の負荷になる.下表は抜粋だ.雪かきというと何の生産性もない無駄な作業と思われがちだが,運動の観点からはトレーニーにとって魅力的な作業なのではないだろうか.作業に夢中になって,気がついたら 1 時間過ぎていたなんてこともザラだ.

CODE Mets Major Heading Specific Activities
02050 6.0 コンディショニング運動 レジスタンストレーニング(ウェイトリフティング,フリーウェイト,マシーンの使用),パワーリフティング,ボディービルディング,きつい労力
02052 5.0 コンディショニング運動 レジスタンス(ウェイト)トレーニング:スクワット,ゆっくりあるいは瞬発的な努力で
02054 3.5 コンディショニング運動 レジスタンス(ウェイト)トレーニング:複合的エクササイズ,様々な種類のレジスタンストレーニングを 8-15 回繰り返す
08195 5.3 芝生や庭の手入れ シャベルでの雪かき:人力で、ほどほどの労力
08200 6.0 芝生や庭の手入れ シャベルでの雪かき:人力で
08202 7.5 芝生や庭の手入れ シャベルでの雪かき:人力で、きつい労力

服装

 これだけの負荷で運動すれば当然発汗する.寒いと思って厚着して出たら,除雪の終わる頃には汗びっしょりというのもよく経験する.だから俺は除雪の時は厚着せず,むしろ薄着で出る.ただし,外套だけはしっかりしたものを着るべきだ.雪が降りしきる中での除雪という状況もありうる.降ってきた雪が体に付着して体を冷やすのは良くない.

 実を言うと,しっかりした外套の下は肌着かパジャマだ.下半身は肌着の上にウィンドブレーカーパンツを履く.長靴の口をウィンドブレーカーパンツの裾で覆い,雪が入らないようにする.手袋はスキー用が良いだろう.フードを被る.

除雪の計画と実行

 除雪というのはトンネルの掘削に似ている.扱う対象が雪か岩石かの違いはあるが,限られた空間内で必要な動線を確保し,優先順位をつけて掘り出したものを捨てる.その際には全体を見通す目が必要とされる.最大の課題は雪捨場の確保だ.

通路の確保

 一面に積もった雪を見ると,気が滅入りそうになる.俺はその度にある場面を思い出して自分を奮いたたせる.NHK だったか,トンネル工事を描いたドラマだ.

 トンネル工事は,実は水との闘いでもある.破砕帯と呼ばれる箇所が工事の難所とされ,大量の地下水が噴出する.この水を排水するために本坑に先立ってパイロットトンネルという先進坑を掘る.ドラマでは大量の湧水というピンチにあって主人公が選択を迫られた.

 現場の作業員を救うには,すぐに撤退指示を出さなくてはならない.しかし作業員が撤退すればパイロットトンネルを失うことになる.それは工期の大幅な遅延を意味する.そこで主人公は驚くべき決断を下す.

 「パイロットトンネルは,我々の目だ.水を本坑に流す」

 作業員の命とパイロットトンネルの両方を救うにはこれしか方法がなかった.結果として工事は成功し,トンネルは完成する.

 話が横道にそれた.除雪において最初にすべきは通路の確保である.通路は雪捨場のすぐ横に作る必要がある.車で通勤する人なら駐車場から道路まで車の幅に合わせて除雪する必要もある.俺の家の場合,道路と家の間に歩道があり,駐車場が歩道に面している.この場合,歩道を歩く人のための通路と,車を道路に出すための通路を作らなければいけない.

 最初はスコップで玄関から掘り始める.人が通れるだけの幅であればよい.歩道に細い通路をまず一本通す.

 次に歩道から道路への出口を掘り広げる.車が出られるだけの幅を掘る.ここを足がかりにして,雪捨場へのアクセス通路を掘る.

雪捨場の確保

 自宅の敷地は狭い.雪を捨てられる場所は限られるため,必然的に上に積み上げざるを得ない.雪というのは日数が経つほど重く固くなり,対応が大変になる.初動が大事ということだ.

 俺の家の場合,歩道と道路の間の縁石周辺が雪捨場になる.ここへのアクセス通路をまず掘る.重要な点は,アクセス通路は雪捨場のすぐ脇に掘るということだ.最初はスコップでスノーダンプが通れる幅を掘る.軽いからどんどん積み上げていく.この動作,何となくデッドリフトに似てないか?

 歩道の端から端まで掘ったら,次はスノーダンプに持ち替える.

線で掘り,面に広げる

 雪捨場の脇に掘ったアクセス通路の端から順にスノーダンプを突っ込んでいく.掘った雪はスノーダンプの向きを変えて雪捨場に押し付け,取っ手を持ち上げて体重をかけ,雪の壁を作る.

 歩道上の雪はアクセス通路を挟んで雪捨場に平行移動することになる.降ったばかりの雪はふわふわしていて密度が小さいため,圧力をかけると体積が減る.アクセス通路が線でそれを広げていくイメージである.

 車の周囲の雪も掘っておく必要がある.車の屋根に積もった雪は,運転前に必ず落とさなければならない.ブレーキを踏んだ途端,屋根から滑り落ちてきた雪でフロントガラスが全面覆われて視界がゼロになった経験があれば理解できるはずだ.

 車の前面から道路に出るまでの通路も掘る.雪国では四駆が便利だ.普段は燃費が悪いため何度乗り換えようと思ったか知れないが,大雪の朝だけは四駆でよかったと思う.逆に軽自動車は雪道では無力だ.ほんのちょっとした段差も乗り越えられずスタックしてしまう.

 ここまでの作業で 1-2 時間はすぐに過ぎる.大雪が予測されている日は早起きが必要だ.汗をかくから除雪後すぐにシャワーを浴びよう.プロテインも忘れずに.