東京紀行

 先日東京に出張した.その時のことを記す.

 土曜日午後 6 時.台風接近の前日で小雨が降っていた.用事を終えた俺は品川駅に向かった.切符を買って山手線に乗る.降りたのは浜松町駅.来る時にゴールドジムを見かけており,終わったらここに来ようと決めていた.

 降りたはいいが,土地勘がないと道がさっぱり分からない.駅の構造や降りていく階段が頭に入ってないとどこに出るか分からない.Google Map があるとは言え,片手にカバン,片手に傘ではスマホが見られない.正面の出口から降りればすぐだったものを,何を勘違いしたのか反対側の出口から出てしまい,公園の側に降りてしまった.旧芝離宮恩寵庭園というのだそうだ.公園と線路の間に道がない.結局公園をぐるりと迂回するハメになった.この時点で既に疲れてしまう.職場にいつも持参するカバンなのに,ズシリと重い.

 Google Map ではもう着いているはずなのに,入口が分からない.汐留芝離宮ビルディングの中に入口があるのかと思っていたが,実際は外にあった.

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虎とベンチプレス

https://www.worldwildlife.org/photos/sumatran-tiger

 この物語はフィクションである.真に受けないようにされたい.

 あなたは今から数万年前,ある大陸で生きていた若者だ.数十名の部族の一員だ.あなたには弟がいた.

 ある夏の日の午後,あなたは弟と一緒に狩りに出かけた.あなたの担当は居留地の西だ.他に北,東,南へも手分けして他の男たちが狩りに出かけている.普段はこうして少人数の複数チームで小中型の動物を狩っている.大型の動物を狩ることはめったになく,年に一回あるかないかだ.その際は何日もかけて罠を仕掛け,少数の突撃班と,残り大多数の伏兵班に分かれる.もちろん構成員は全ての男だ.

 突撃班に選ばれるのは大変な名誉だった.巨大な動物はその体重だけで十分に殺傷能力が高い.罠のある方へ追い立てるのが役目だが,間違って自分たちの方向へ突進してきたら文字通り命にかかわる.実際,過去の狩りでは突撃班の半数が死亡したこともある.命を代償として賭ける彼らには高い名誉と報酬が与えられるのだった.

 彼らは戦士と呼ばれ,食料の配分,武器の材料,そして女の優先権が与えられた.実際,優秀な戦士の子もまた優秀な戦士となることが多く,強い男が多くの女に子を産ませるのは部族の繁栄にとって当然だと考えられていた. “虎とベンチプレス” の続きを読む