社会疫学的指標を考慮した都道府県別の熱中症搬送人員数の予測と実際

 都道府県別の熱中症搬送人員数の予測と実際をEXCELの組み合わせグラフで描くでは独立変数として日最高気温,日平均水蒸気圧,65歳以上人口,人口密度を投入し都道府県別の熱中症搬送人員数を予測した.以前の記事ではe-Statからの社会疫学的指標を加えて熱中症搬送人員数を分析した.社会疫学的指標としては日最高気温,日平均水蒸気圧,都道府県人口に加えて過去30日間の平均気温,エアコン保有台数,年間収入のジニ係数,光熱・水道費,実収入,第1次産業就業者比率,第2次産業就業者比率,都市公園数,都市緑化割合,自然公園割合,自然公園数,生活保護被保護人員である.

 今回は社会疫学的指標を独立変数として加えた熱中症搬送人員数の予測と実際を示す.

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日平均気温の過去30日間の移動平均をSQL Serverのウィンドウ関数を用いて計算する

 熱中症の搬送人員数が月平均気温と負の相関があるとの情報を得た.普段涼しい地域ほど日最高気温の上昇に弱いという意味である.普段涼しいということを表現するには過去30日間の日平均気温の平均を取ればよいだろうと判断した.こうなるとSQL Serverのウィンドウ関数の出番である.

都道府県別の熱中症搬送人員数の予測と実際をEXCELの組み合わせグラフで描く

 前回の記事では2019年の都道府県別の熱中症搬送人員数を1枚のグラフで描いた.今回は都道府県別に2008年から2021年までの熱中症搬送人員数の予測と実際をEXCELの組み合わせグラフで描く.

 Heat-related mortality: a review and exploration of heterogeneityというレビューでは人口密度が高いほど熱の影響が大きいことが示されている.その理由として高度に設計された環境では蓄熱量が大きく,換気が悪く,自動車やエアコン等の熱源が局在するいわゆる都市のヒートアイランド現象が起きているためであると説明している.

 それを受けて,詳細は割愛するが,都道府県総人口をその可住地面積(e-Statより)で割った人口密度を投入してみた.するとその係数は大きさこそ小さいものの,符号は負となり,投入前よりもAICが改善した(488368->478801).人口密度が大きいほど搬送数が減少するという意味である.これはにわかには信じがたい.考えられる理由として,日本においては人口密度の高い都市部ほど空調導入率が高い可能性がある.しかし,空調導入率そのものの指標がないため,検証は困難である.

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2019年の熱中症搬送人員数の予測と実際をEXCELの組み合わせグラフで描く

熱中症搬送人員数の予測と実際

 これまでの記事で日最高気温と平均水蒸気圧,各都道府県65歳以上人口および月から熱中症の搬送人員数を予測する回帰式の回帰係数を推定してきた.

 今回はその回帰式を元に実際のデータと比較してみたい.対象は2019年の47都道府県とする.

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一般化線形混合モデルを用いて熱中症搬送人員数に対する日最高気温と平均水蒸気圧の回帰係数を推定する

 総務省消防庁の公開している熱中症搬送人員数は都道府県ごとに毎日データを反復抽出しているとも言える.複数の都道府県から繰り返しデータを取るのは独立した反復ではなく,疑似反復と考えられる.このような場合,都道府県単位で差が生じると考えられ,一般化線形混合モデルを用いて回帰係数を推定する必要がある.

 今回はRのglmmML()関数を用いて一般化線形混合モデルを用いた回帰係数の推定を行った.

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国土数値情報の令和2年の医療圏データの文字化けが直っていた

SQL Server

 以前の投稿(Shape2SQL でシェープファイルを SQL Server 2008 R2 にアップロードする)で国土数値情報ダウンロードサービスの医療圏データが文字化けしていると記述した.改めてダウンロードして SQL Server にアップロードしたところ,いつの間にか文字化けが直っていた.以前にも河川データの文字化けを指摘したことがあるが,こちらも修正されていた(国土数値情報の河川データが一部直っていた件).どうやら国土交通省に指摘すると修正してくれるらしい.

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国土数値情報の洪水浸水想定区域データをSQL Serverにアップロードし郵便番号から検索する

SQL Server

 地球温暖化に伴い,台風の大型化や洪水被害の拡大が懸念されている.今回は国土交通省の公表している洪水浸水想定区域データを SQL Server にアップロードしたのでその経緯を報告する.

 このデータは2022年9月時点で令和3年のものであり,毎年更新されていくものと思われる.関係各位はデータ更新が大変だろうが,頑張っていただきたい.

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国土地理院の地球地図日本ダウンロードから都道府県のポリゴンデータをQGISで作成する

「融合」された結果の都道府県境界

 小地域の境界データはeStatで入手できる.市区町村の境界データは国土数値情報から入手できる.しかし都道府県の境界データは公的機関からは公表されていない.不思議である.今回は国土地理院の地球地図日本ダウンロードというサービスから都道府県の境界データを作成した.

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